研究テーマ

Research interests

ニホンウナギ産卵イベントの時空間的特性

 ニホンウナギの産卵場はマリアナ諸島西方海域の海山域(南北800km; 東西600km)にあることが知られています。しかし、「この広大な海域において、いつ・どこで産卵が行われるのか?」、「その産卵地点の目印となる環境要因は何か?」といったウナギが産卵集団を形成するための機構は未だに明らかになっていません。そこで私は、産卵海域におけるニホンウナギの産卵生態について海洋物理学、発生学、行動学的視点から解明を目指しています。
 新月期の海山域において「内部潮汐」という物理現象がウナギの産卵地点の目印となっているという仮説のもと、数値シミュレーションの結果と天然環境におけるウナギ受精卵の採集結果との対応関係を検討しました。その結果、これまでにウナギ受精卵が採集された場所の付近には、決まって内部潮汐の卓越する地点があることがわかりました。この結果から、内部潮汐はニホンウナギが産卵地点を決定する際、なんらかの形で利用されているものと考えられました。現在は、内部潮汐によって引き起こされる乱流混合に注目して、ウナギの産卵地点決定過程を明らかにしようとしています。
 また、産卵時刻を推定するため、産卵海域で採集されたウナギ受精卵の胚発生段階を決定し、卵の経験水温を推定することで、産卵(受精)時刻を推定しています。また、この推定産卵時刻に基づいた最終成熟過程についても検討しています。

本研究で用いる主な手法:
調査航海、数値シミュレーション、環境観測、バイオロギング

関連業績:
Higuchi et al. 2020 Scientific Reports

ウナギ属魚類の産卵回遊生態

本研究で用いる主な手法:

バイオロギング、数値シミュレーション、衛星観測、環境解析

関連業績:

Higuchi et al. 2018 Zoological Studies

Higuchi et al. 2021 Journal of Experimental Marine Biology and Ecology

マリアナ諸島西方海域で生まれたウナギは成育場である東アジアの汽水•淡水域で5–15年程度成長した後、繁殖のために再び産卵場へ回帰します。ニホンウナギの生活史のうち、産卵場所や仔魚の往路回遊、黄ウナギの河川生態などはこれまで多くの研究が行われており、明らかになりつつあります。しかし、銀ウナギの産卵回遊については、沿岸域(Manabe et al. 2011, Chen et al. 2018)や黒潮外側域(Chow et al. 2015)においてその行動追跡が行われたのみで、東アジアを出発したニホンウナギが産卵場へ到達するまでの産卵回遊全過程の行動や経路については分かっていませんでした。
そこで本研究では、日本沿岸、外洋域、産卵場の各海域において、データロガーであるポップアップタグを用いてニホンウナギの産卵回遊行動を追跡しました。この放流実験の結果、ニホンウナギは産卵回遊の終始に亘って昼夜の日周鉛直移動を示すことが分かりました。また、この日周鉛直移動は、光と水温によって厳密に規定されていることが分かりました。
鉛直方向の行動だけでなく、水平方向の回遊経路や定位方法についても分かっていない。私は、地磁気を観測するポップアップタグを用いた放流実験と数値シミュレーションを駆使して、ニホンウナギの定位メカニズムの解明を目指しています。